文献抄録
感染性残尿患者に対する鉱物油の治療
pp.468
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200931
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排尿障害のために常時残尿が,100ないし150ml以上ある患者では尿感染を防止することは極めて困難である。そこで著者等は細菌の発育しにくい溶液を膀胱内へ入れて,排尿後常時この溶液が膀胱内に残るようにすれば尿感染を防止し得るのではないかと考えて化学薬学科等の協力の下に,この目的にかなう物質のスクリーニングを施行し,鉱物油が最も適していることを確認した。鉱物油として粘張度89saybolt単位(37.9C)で比重0.891(25C)のものが適当であることを知り,このものは生体に無刺激,無味,無臭,無色のものである。著者等は現在までに20名の排尿障害で感染性残尿患者に用いていずれも有効であることを確認し,著効を得た3症例を紹介している。その1例は51才の女性で1967年3月残尿(750cc)を主訴に入院した患者である。膀胱頸部切開をうけウロコリン50mg1日4回の投与にもかかわらず,残尿は500ccから600ccが認められ尿は強い感染を示していた。膀胱内圧計測では膀胱は高度に弛緩し1050ccで尿意を催す程度である。そこで尿道の拡張と排尿の訓練を試み3週間留置カテーテルをおいて残尿は320cc程度となつた。
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