文献抄録
稀有なる腎実質癌の尿管・膀胱転移
pp.1001
発行日 1969年12月20日
Published Date 1969/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200803
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腎癌の遠隔転移は普通に見られるが,膀胱尿管への転移は文献的にも現在まで3例を数えるにすぎない。ことに尿管口へ転移を見たものはその内5例である。著者は腎癌の尿管・膀胱転移例を経験して報告している。
症例は56才男子で1966年12月に無症候性の腎性血尿にて入院,排泄性腎盂撮影の結果左腎上極に腎盂像の乱れを発見されて左腎摘出術をうけた。右腎像および内視鏡膀胱所見には全く異常を認めなかつた。摘出腎は上極髄質から皮質にかけて3.2cm径の腫瘍部が見られ,一部大腎盂,腎盂にも腫瘍の浸潤が見られた。顕徴鏡的には未分化癌であつたが,血管には腫瘍浸潤はなかつた。術後の経過は順調に退院した。それ後約8カ月して再度血尿となり入院。
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