書評
「ことばもクスリ―患者と話せる医師になる」―山内常男 編
川島 みどり
1,2
1日赤看護大学
2臨床看護学研究所
pp.233
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102638
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全身の痛みを長く訴える患者に「データ上からも痛むはずはない。あとは,あなたの心の持ち方次第。あまり神経質にならないように」と,訴えそのものを否定した医師。通常よくみられる場面ではある。2週間後,別の医師の「よく我慢したねえ。長いことつらかっただろう」との言葉で執拗な痛みが薄れ,その晩は鎮痛薬を飲まないで済んだ例を目の当たりにしたことがあった。
著者らは,医師の言葉が患者に与える影響を意識した医師らである。おそらく同じ病院の医師同士でも,隣の診察室での会話を聞く機会はほとんどないだろう。それだけに,受付の対応から始まる外来診療の流れに沿った場面での,言葉が生み出すさまざまな葛藤や可能性から得られるヒントは多いと思う。
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