書評
「コミュニケーションスキル・トレーニング―患者満足度の向上と効果的な診療のために」―松村真司,箕輪良行 編
江口 成美
1
1日本医師会総合政策研究機構
pp.367
発行日 2008年5月20日
Published Date 2008/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101498
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日本でコミュニケーションスキル・トレーニングを医学教育に取り入れるようになったのは,1990年以降である。それ以前に大学を卒業した医師の大部分は,コミュニケーションに関わる教育を受ける機会がなかった。本書はこうしたベテラン医師を対象に,患者とのコミュニケーションスキルの習得と実践について体系的な学習を可能とする,従来なかった手引書である。前半にコミュニケーションや患者満足度に関する解説があり,後半にスキルアップのための手法やトレーニングの内容,効果が説明されている。ベテラン医師が自身で学べると同時に,トレーニングコースの実践テキストとしても活用することができる。編著者らは,コミュニケーションスキル・トレーニングコース(CSTコース)の開発・運営に実際に携わる専門家で,編者のお一人の松村真司先生は,研究もこなしながら臨床の場で活躍されている先生である。
病気になれば,誰しも不安で心細くなる。医療者と心の通う対話ができれば,患者は緊張や不安が和らぎ,診療を前向きに受けることができ,ひいては病気と積極的に向き合うことができる。一方,よいコミュニケーションは医師自身の達成感も向上させる。
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