画像診断
定期健診を契機に発見された成人仙尾部奇形腫
上野 陽子
1,2
,
菊池 俊樹
1
,
水沢 弘哉
1
1独立行政法人国立病院機構長野病院泌尿器科
2厚生連篠ノ井総合病院泌尿器科
キーワード:
奇形腫
,
後腹膜腫瘍
Keyword:
奇形腫
,
後腹膜腫瘍
pp.925-927
発行日 2007年10月20日
Published Date 2007/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101284
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患 者 46歳,男性。
既往歴・家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 2002年5月,定期健診の超音波検査で下腹部に腫瘍を認め,精査のため当科に紹介された。
来院時現症 下腹部正中に無痛性の手拳大の腫瘤を触知した。
画像検査 CT検査では下腹部正中に13.5×11cm,境界明瞭,辺縁平滑な囊胞状の腫瘤を認めた(図1)。膀胱,小腸に接していたが,いずれも境界鮮明で,左腰筋を前外方へ圧迫していることから,存在部位は後腹膜腔と考えられた。仙骨にも接していたが骨破壊や変形はみられなかった。
MRI検査でも,厚い被膜と造影効果のある隔壁を有する腫瘤が認められた(図2)。周囲臓器との境界は明瞭であったが,腰,仙椎と密着していた。仙尾骨奇形腫が疑われた。
以上より,2002年6月下旬に腫瘍摘出術を行った。
手術所見 腫瘍は後腹膜,尿管と癒着していたが剝離は容易であった。しかし,仙骨前面中央に強く癒着し,剝離は困難であった。癒着部を鋭的に切離し,腫瘍を摘除した。腫瘍の内容物は黄白色ゼリー状の液体で,量は500mlであった。
病理学的所見 重量950g,多胞性で重層扁平上皮,皮脂腺,汗腺,毛胞,血管,脂肪織,平滑筋,腸管様の粘膜上皮がみられた(図3,4)。以上より成熟奇形腫と診断した。
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