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編集後記
村井 勝
pp.88
発行日 2007年1月20日
Published Date 2007/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101229
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2007年61巻1号の特集は「Aging male―これからの展開」です。高齢化社会の到来は,わが人類にとって社会的な大きな課題となっています。医療の面でも高齢者の健康増進,QOLの維持を目指した医療が21世紀のテーマとなるなかで,aging maleの研究も盛んになりつつあり,学会も発足しました。日本ではMen's Health学会として,泌尿器科のみならず老年内科や精神科の先生も加わって学際的な取り組みがなされています。Aging maleの本体は加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群であり,このたび日本泌尿器科学会からLOHに対する診療手引きも発刊されました。今後この分野の診療が着実に発展するものと思われます。なお,LOHについてMorales, Schulmanらは,テストステロンが30歳代から下降を開始することからテストステロン欠損症候群(TDS)という名称を提唱し,テストステロン補充療法の重要性やTDSとメタボリックシンドロームとの関連についても言及しています。
近年,医学・医療が変革を遂げるなかで,私達は泌尿器科の将来を常に考えていかなければなりません。Men's healthは21世紀の医療として,その一翼を担っていく可能性があると思われます。テネシー・ウイリアムズの言葉ではありませんが,未来は現在となり,現在は過去となります。未来に対する計画がない限り,過去は永遠の悔恨となるでしょう。常に私達は,先見性のある未来志向で進まなければならないと思います。
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