原著
Apocrine Spiradenoma
白井 利彦
1
,
飯岡 昭子
1
,
北村 弥
1
,
兵 行和
2
,
星谷 勤
2
Toshihiko SHIRAI
1
,
Akiko IIOKA
1
,
Wataru KITAMURA
1
,
Yukikazu HYO
2
,
Tsutomu HOSHIYA
2
1奈良県立医科大学皮膚科学教室
2奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
1Department of Dermatology, Nara Medical University
2Department of Oto-Rhino-Laryngology, Nara Medical University
pp.717-725
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201943
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66歳,女子の右耳介に生じた,大豆大の腫瘤を光顕的,電顕的に検索した.病理組織像は腫瘍の中央部では腫瘍細胞はほぼ円形の核をもつ小型の細胞の集団からなり,ところどころ,裂隙状に管腔形成をなしている,間質には一見,泡沫細胞様の明るい細胞が密に浸潤するほか,コレステロール様針状結晶が多数,存在している部分がある.腫瘤の辺縁部では管腔形成のはっきりした胞巣がみられ,その一部の胞巣には大型の明るい細胞が存在し,時に管腔を塞ぐように位置している.この細胞は上記の間質の細胞と同じ染色態度(ジアスタービ抵抗性PAS陽性など)を示す.電顕的には多数の大きさ,形の多様な顆粒を有し,貪喰細胞と思われる.電顕的には腫瘍細胞巣は管腔形成の傾向をみせるlysosomeと考えられる大型の顆粒を多数有する細胞と基底細胞様細胞からなり,一部に筋上皮細胞と同定される細胞を認めたので本腫瘍をアポクリン汗腺分泌部に起源を有する腫瘍,すなわちApocrine spiradenomaと考えた.
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