Japanese
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綜説
ケラチンならびに角化の生化学的問題
BIOCHEMICAL ASPECT OF KERATIN AND CORNIFICATION OF THE SKIN
清寺 真
1
Makoto SEIJI
1
1東北大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tohoku University
pp.193-200
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201112
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ケラチン(keratin)とは,従来漠然と上皮組織に含まれる不溶性,抵抗性の線維性蛋白質と考えられてきた.そして現在は電子顕微鏡下に角層細胞に認められる電子密度の低い線維性成分と推測され,基底細胞,有棘細胞に含まれる上皮線維(tonofilament)はその前駆体であろうと考えられている.一応このように仮定すると,ケラチン生成とはかかる線維性蛋白の生成ということになる.一方角化(kcratinization)とは,表皮では形態学的に基底細胞が有棘細胞,顆粒細胞をへて角層細胞になる過程であり,これは単なるある特定の蛋白質の生成のみでなく,もつと複雑な,生化学的代謝機構の総合された生物学的な過程で,しかも同化とそれに続く異化過程とよりなつている.したがつて従来角化がケラチン生成と同意語に解されていたのは適当でなく,角化とは角質生成と考えるのがよい.
細胞生化学的な問題を論ずるにあたつてこのことは重要なことである.
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