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綜説
羊毛ケラチンの微細構造
FINE STRUCTURE OF WOOL KERATIN
近土 隆
1
Takashi KONDO
1
1山形大学工学部
1Faculty of Technology, Yamagata Univcrsity
pp.9-14
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201086
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ケラチンは,脊椎動物の表皮およびそれから外に向つて発達した組織(角,爪,体毛,羽毛など)で適度の強度や弾性が要求される部分を構成する組織たん白質として知られている.化学分析的には,シスチンの含有量が他のたん白質に比べて高いことが特徴である.シスチンの大部分は,ペプチド鎖間にまたがり,隣接分子をジサルファイド架橋によつて結びつける役割を果たしている.これが構造全体を強化するように働いていることはほぼ間違いないところである.またケラチンは,加硫ゴムとならんで,架橋高分子の異型として,高分子構造物性研究者にとつても,きわめて魅力あるたん白質である,ケラチン分子中でのアミノ酸の配列の順序(1次構造)については1部のフラクションを除いて,ほとんど判つていない,本稿では主として羊毛ケラチンの2次以上の構造について筆者の見聞する範囲で概説したい.
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