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発生論
本症は種々の病変ないし疾患に併発もしくは続発することが記載されている。このさい組織学的のみに認められたもの,たとえばある腫瘍ないし炎症の典型組織像の中に本症の組織像がみられたというがごときものであつては,2疾患が併発したという表現をとることは好ましくない。このような現象を西山127)は皮膚におけるリンパ濾胞様構造形成と称し(Lymphfolliculose),表皮の腫瘍性変化(Paget病・Bowen病・基底細胞腫・Epithelioma spinocellulare segregans・白色角板症・Dyskeratoma lymphadenoides・Syringocystadenoma),結合組織の変化(石灰沈着症・鞏皮症・慢性放射線皮膚炎・瘢痕),リンパ細網性の腫瘍性変化(細網症),リンパ細網性反応を伴う病変(萎縮性慢性肢端皮膚炎・慢性エリテマトーデス・多型日光疹・酒皶・昆虫刺傷),肉芽腫性病変(脂肪肉芽腫・スポロトリクム症・ゴム腫・慢性増殖性膿皮症・癩腫癩・好酸球性肉芽腫),粘膜の病変(白色角板症・扁平苔癬・肉芽腫性口唇炎・光線口唇炎・Plasmocytosis circumorificialis・物質代謝異常による口唇炎)などにおいて少なからず観察される所見であり,かかる基礎疾患なく特発性に生ずるもののみをidiopathische Lymphfolliculoseとなし,Lymphadenosis benigna cutis(以下LABCと略す)と木村氏病とをこれに属せしめている。このことは,たとえば乳嘴形成性汗腺嚢胞性汗腺腫(SCAPと略す)の組織像中に基底細胞腫の構造がみられた時に,これを両者の合併と表現するのはあまり妥当でない(一部にbasaliomatösな組織構造を示したSCAPと表現すべきである……これはこれらが分化の異なる一系統の腫瘍であることを考えればその解釈は明らかである)と同じ関係といえよう。ただしのちにふれるようにたとえば萎縮性慢性肢端皮膚炎(ACAと略す)の萎縮性局面の上に半球状に隆起した小結節(組織像がLABC)を生じたといつたような場合(同じくSCAPの腫瘍の一部が特に隆起してき,そこの組織が基底細胞腫であつたような場合)には,少なくともclinicalには両者が合併したという表現をとつても,あながちこれは否定すべきほどのこともない。これはclinical entityとhistological entityの問題にもどるであろう。
その表現はともかくとして,LABCと他疾患との併存は次のごとくである。
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