連載 手術・手技シリーズ
④鼻骨骨折の整復
寺田 修久
1
,
野村 知弘
1
,
笹村 佳美
1
,
武藤 博之
1
,
沼田 勉
1
,
今野 昭義
1
,
白鳥 浩二
2
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2仙北組合総合病院
pp.321-327
発行日 2001年4月20日
Published Date 2001/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902340
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
鼻骨骨折は顔面骨外傷の中で最も頻度が高く,日常臨床でしばしば遭遇する外傷である。鼻骨骨折が高頻度に起こる原因として,顔面中央部に突出していることのほか,外力に対する強度が弱い構造上の理由もある。ちなみに,鼻骨骨折は10〜35kgの外力で生じるが,眼窩,頬骨骨折では,90〜200kgの外力が必要となる1,2)。その整復は比較的容易と思われがちであるが,機能の回復はもとより,整容的にも十分な配慮が必要であり,的確な診断と治療を要求される。また,鼻骨骨折と同時に上顎骨,眼窩底・眼窩側壁,頭蓋底,頬骨,視束管など他部位の骨折を見逃さないようにすることも肝要である。特に通常診療時間以外に,多量の出血を伴つて救急外来に来院した場合,迅速かつ的確に骨折部位,機能障害の有無,整復の必要性の有無,整復法を判断するのにはかなりの熟練を要する。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.