鏡下咡語
船旅
鳥居 浩
1
1鳥居耳鼻咽喉科医院
pp.1044-1045
発行日 1993年12月20日
Published Date 1993/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900849
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私はこの十年ほど船旅に凝っている。最近2,3年クルーズブームに沸いているが,古い港町門司に生まれ育った私にとって船旅への想いは戦前の子供のころにさかのぼる。大連航路の豪華船や関釜連絡船,初めて乗って迷子になった瀬戸内海航路の客船むらさき丸などなど。しかし客船の旅など夢のまたゆめと思っていたある日,先輩の故丸岡修三先生と話していて,夏のアラスカクルーズに誘われたのがきっかけであった。丸岡先輩はその乗船が火事になり救命ボートで漂流したという稀有の経験もお持ちの,知る人ぞ知る船旅の先達であることを後に知った。このときのクルーズでその面白みを知って以来,何とか暇を作り出して船旅をしている。マイアミの学会の時には,滝本教授たちと一緒にバハマクルーズをしたし,ドイツではバーゼルからケルンまで2泊3日のライン川下りクルーズやコブレンツからのモーゼル川下り,上海,基隆,香港など日本近海のクルーズや,時には思いきってセントローレンス川からニューイングランドクルーズに出かけたりしている。
クルーズを楽しむにはいろいろな形があるが大きく分けて,目指す海域に乗りにいくこと,目指す船に乗ることであろう。それは夏のアラスカやバルト海,秋はニューイングランド,冬のカリブ海,春のエーゲ海など美しい海にさまざまな国からさまざまな船が集まる季節に予定をあわせることであり,ロイヤルバイキング・サン,ロッテルダム,サガフィヨルドなど特色のある名船の運航スケジュールに予定を合わせての努力(必要経費と暇を作るために)する事である。経費は1日あたり2〜3万から5万円,航海日数は3泊4日から1週間というところが限度であろうか。
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