トピックス メニエール病の診断と治療
メニエール病の手術療法
二木 隆
1,2,3,4
1二木耳鼻咽喉科医院
2めまいクリニック
3東京大学医学部
4大阪市立大学医学部
pp.877-883
発行日 1992年12月20日
Published Date 1992/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900650
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はじめに
病態である内リンパ水腫を報告した100に満たない論文の患者は,多くは他の疾患で亡くなったもので,もちろん死亡時に発作中であったという訳ではない。しかしながら,いずれにもライスネル膜の膨隆している所見がみられたことは,その状態が永続的に存続していることを示している。従ってメニエール病患者個々にとっては,めまいのない休火山状態から,なんらかの契機によって,たとえばSchuknechtの破綻説のごとく,容易に噴火(発作)して活火山状態になるという「終生の疾患」であるという可能性の方が強くなる。
回転性のめまい発作は患者の最も恐れ苦痛とする不利益であり,もちろんこれを解消するのは大切なことであるが激しいめまいは少なくとも3日位で治るものであり,嵐の去ったあとに残るものは,耳鳴・難聴という蝸牛症状であり,この病気のnatural historyとは,発作と寛解の蛇行性反復をくりかえしつつ,聴力の下降線を辿るというものである。しかも著者の経験によれば,本疾患は28〜29%もの両側罹患が示される難病傾向をもつものである。
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