特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
III.非癌性疼痛
炎症性疼痛の臨床特性と治療
Ramsay Hunt症候群に伴う疼痛について
小池 吉郎
1
,
戸島 均
1山形大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.929-932
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200440
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はじめに
Ramsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群)は耳介帯状疱疹,末梢性顔面神経麻痺,第8脳神経症状(めまい,難聴耳鳴)の3主徴を呈する症候群で,顔面神経膝状神経節の水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化が原因とされている。しかしこの3主徴のうち特に第8脳神経症状が認められない場合でも,Hunt症候群の不全型とされ,同じ範疇に組み入れられている。さらに原因不明の特発性末梢性顔面神経麻痺(Bell麻痺)のなかには帯状疱疹virusの抗体価が上昇する症例があるが,これはzoster sine herpete(ZSH)と呼び,Hunt症候群には含めていない。
Hunt症候群とは帯状疱疹と顔面神経麻痺の合併というのが一般的な認識であるが,今後は診断学の進歩に伴い帯状疱疹ウイルス感染症としての第7,8脳神経障害を総称するようになるのではないかと考えている。
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