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昭和63年10月21日,日本オージオロジー学会は,その第33回総会において会名を変更し,「日本聴覚医学会」と改称しました。その理由や経緯については,会員には種々の方法でインフォーメーションがなされましたが,会員でない方々には,唐突な印象を受けられた方も少なくないと思います。本誌編集部からのおすすめもありましたので,その経緯について簡単に述べ,関係ある多くの方々の御理解を得たいと思います。
日本オージオロジー学会の発足は,昭和30年11月27日,名古屋大学で行われた第5回難聴研究会の席で決まりました。戦後わが国における,いわゆるaudiologyの研究活動は,日本耳鼻咽喉科学会会員の中の,特に難聴に興味を持つ人の集りとして昭和26年に始まりました。その会は難聴研究会という名称で,年1回研究発表会を持って5年間続きましたが,年を追うごとに会員数も演題数も飛躍的に増加していったので,上記第5回目にあたる名古屋大学での研究会の席上,これを次回から学会とするという考えが提示され,会員の賛同を得て決まったものです。その時,学会名をどうするかが論議の的となりいろいろの案が出ましたが,全員が納得するような良い会名がみつからず,とりあえず研究分野であるaudi—ologyをそのままカナ文字で書いて学会名とすることになりました。この会の終了後に,当時難聴研究会の会長をしておられた颯田琴次先生が,会員全員に送られた挨拶状の中で「……このように発展した会を研究会にとどめておくよりも更に視野を広めて,オージオロジーの学会にするのがよいという声がおこり,御参加の皆様におはかりいたしましたところ多数の御賛同を得ました。それで今後は当分の間,オージオロジー学会(仮称)という名称のもとに今までの会をつづけて行きたいと存じます。.……」と書いておられます。
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