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Ⅰ.はじめに
近年,高齢化と社会的ニーズの変化によって摂食・嚥下障害に対する注目が急速に高まっている。2008年には日本耳鼻咽喉科学会が編集した嚥下障害診療ガイドライン1)(以下,診療ガイドラインと略す)が出版され,嚥下を専門とする医師だけでなく一般外来を担当とする耳鼻咽喉科医が日常診療において嚥下機能の評価ができるよう一定の指針が示された。
しかし摂食・嚥下障害に対する耳鼻咽喉科医の取り組みは決して十分とはいえない。その背景の一つとして,摂食・嚥下障害の疾患を取り扱う際の,膨大な情報を簡潔にまとめることに対する時間的制約や煩雑さがある。また,カルテに記録する内容が検者の知識や経験により左右され,その結果問診および理学所見,スクリーニングテスト,videoendoscopy(VE)の結果や診療経過などの情報を摂食・嚥下チーム間で共有できないこともしばしば経験する。
診療ガイドラインに基づいた使いやすい記録様式があれば,項目に沿って問診や検査を進めることにより適切なカルテ記録を簡便に作成することができると考えられる。
そこでわれわれは,診療ガイドラインに基づき,カルテへの簡便な記録を目的として評価用紙を作成,評価用紙の項目のほとんどを選択式とした。問診および理学所見,スクリーニングテストと,VEをそれぞれA4用紙1枚ずつにまとめた。VEの評価用紙には,短時間で客観的な評価や経過観察が行えることを目的として,兵頭らが提唱している兵頭スコア3)を追加した。
今回提唱した評価用紙は,嚥下障害診療に当たり簡便かつ摂食,嚥下にかかわる医療職種間で統一した情報共有が行えるため十分有用であると考えられる。
The availability of an easy-to-use patient-record format based on these clinical practice guideline would simplify the preparation of appropriate medical records.
To enable to use a simple recording of medical data, we have produced evaluation sheets based on these clinical practice guidelines. A medical history questionnaire and records of physical signs, screening tests, and videoendoscopy evaluation have been combined to create a single A4 form.
Our proposed evaluation forms will be useful in the clinical treatment of dysphagia by allowing sharing of information in a simple and consistent form between medical professionals dealing with eating disorders and dysphagia.
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