特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅵ.嚥下検査
4.筋電図検査
兵頭 政光
1
,
森 敏裕
2
1高知大学医学部耳鼻咽喉科
2高松赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.229-232
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101616
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Ⅰ はじめに
嚥下は多数の筋が精密なタイミングで筋収縮と弛緩を行うことで遂行される。特に咽頭期における上・中・下咽頭収縮筋や舌骨上・下筋群の筋活動様式は,嚥下障害の病態を診断するうえできわめて重要である。このような嚥下運動に関与する筋群の活動様式を臨床的に評価する方法として,筋電図検査は最も有用な検査法である。
嚥下機能検査としての筋電図検査は1956年にDottyら1)により提唱された。1966年には井上2)がヒトでの嚥下関与筋の筋電図を報告して以来多くの報告があり,その臨床的意義が広く認知されるようになっている。特に,筋電図検査は嚥下関与筋の筋活動性やそのタイミングを定量的に解析できる点で有用性が高い3,4)。しかし,針電極を用いて行う筋電図検査は侵襲的な検査であることや,手技的な困難性があることなどの問題点があり,臨床的には一般的な嚥下機能検査法とはいえず,補助的検査法として位置づけられている。本稿では,嚥下の筋電図検査の手技と代表的な所見について述べる。
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