やさしい目で きびしい目で・18
女性が医師であり続けるために
中泉 裕子
1
1金沢医科大学
pp.1319
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410909054
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ある日のこと,女子学生が私の部屋にやってきた。「どうしたら女医としてずっと仕事を続けることができるのでしょうか」—これが彼女の質問であった。女性が生涯医師として仕事を続けるにはどうしたらよいのか,医局の女医群を見ながら,最近増えてきた女子学生を見ながら私自身常日頃よく考えることである。
「お前,眼科医になれ」内科医であった父は近くに眼科がなく,不便を感じ,私にその役をさせようとしたわけである。結婚するとき父は夫となる人の前で「一生医者として続けさせてくれるなら許そう」そう言った。私は父のその一言を今でも鮮明に覚えている。そしてそのときは何げなく聞いていた私も,生涯医師として続けていきたいと思っている今,そう言ってくれた父にとても感謝している。外科医である夫は家の仕事,育児を手伝ってくれたわけではないが,主婦業をしない私に文句は言わなかった。しかし育児を一人でこなすのは大変であった。
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