特集 眼科治療薬マニュアル—私の処方箋
抗アレルギー薬の使い方と注意点
湯浅 武之助
1
1国立大阪病院眼科
pp.31-35
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901340
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即時型アレルギー反応と抗アレルギー薬
結膜や上気道粘膜に侵入した抗原はマクロファージやランゲルハンス細胞に捕捉され,その情報はリンパ球に伝達される。その結果,リンパ球相互間の反応により,抗体産生細胞が誘導され,粘膜内でIgE抗体が産生される。IgEは肥満細胞や好塩基球の細胞膜と結合し,抗原と遭遇するとIgE2分子に抗原が結合し,細胞内では図のような反応が起こり,これらの細胞から化学伝達物質が放出される。この即時型アレルギー反応の主役はIgE抗体と肥満細胞,好塩基球である。肥満細胞または好塩基球の細胞膜に結合した化学伝達物質には抗原とIgEが反応する以前から,これらの細胞内で産生されているもの(preformed media-tors)と,反応後に産生されるもの(newlygener-ated mediators)とがある(表1)。
近年,「抗アレルギー薬」と呼ばれる薬剤が相次いで登場し,臨床的に広く使用されている。これらの薬剤はIgE抗体が関与する肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の遊離を抑制するものである。抗アレルギー薬は経口投与,点眼のほか,気道アレルギーでは吸入,噴霧などの投与法がある(表2,3)。抗アレルギー薬にも副作用はあるが,ステロイド点眼薬にみられるような重篤なものはまれである。
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