連載 眼の組織・病理アトラス・30
線維柱帯(小柱網)
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.482-483
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210705
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線維柱帯(小柱網) trabecular meshworkは前房隅角に存在する網目状の組織(図1)で,シュレム管への主要房水流出路である。房水は線維柱帯の網目の間隙,すなわち線維柱間隙inter-trabecular spaceを通過する。
眼球の子午線方向の切片では,線維柱帯は細長い楔型の組織として観察される。楔の先端は角膜周辺に,楔の基底部は毛様体前端部にある。線維柱帯の強膜側にシュレム管が存在する。線維柱帯は機能的には前部線維柱帯と後部線維柱帯に分けられる(図2)。前部線維柱帯はシュワルベ線からシュレム管の前端までをいい,角膜網cornealmeshworkとも呼ばれる。房水流出路としての重要性は少ないと思われる。シュレム管の前端から隅角底までは後部線維柱帯である。後部線維柱帯はシュレム管に面する部と毛様体前端部に面する部位にさらに分けられ,毛様体に面する部は毛様体網ciliary meshworkとも呼ばれる。後部線維柱帯は経シュレム管房水流出路としても経ぶどう膜強膜房水流出路としても重要な部位である。隅角陥凹が深いことが線維柱帯が良く発育していることを示す指標となる。
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