抄録
第20回白内障研究会講演抄録
馬嶋 慶直
1
1岩手県医師会館
pp.1311-1324
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208745
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I.一般講演
1.水晶体内陽イオンの変動と水晶体との関連性について
正常水晶体が房水や硝子体の異常により代謝障宮を生じると水晶体内の陽イオンのアンバランスが生じるが,その程度が軽く一過性であれば外部環境の正常化に伴い水晶体代謝は再び正常に回復すると思われる。そこでどの程度まで陽イオンのアンバランスが進めば水晶体は不可逆的な障害を受けるかを調べた。まず正常水晶体に可逆的な—SH阻害剤であるダイアマイドを作用させ種々の静止電位の脱分極を惹起させた。次に各水晶体を—SH保護剤を含む溶液に移し静止電位の回復を調べた。また種々な程度に脱分極した水晶体の陽イオン濃度を測定し,水晶体が不可逆的代謝障害を受ける陽イオン濃度の限界を調べた。その結果静止電位の脱分極が40mV以上の水晶体では全例進行性に脱分極した。〔Na+〕/〔K+〕は正常水晶体で0.18,脱分極が40mVのものでは0.57であった。以上より〔Na+〕/〔K+〕が0.57以上になると水晶体は不可逆的障害を受けると思われる。
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