銀海余滴
白内障手術史の研究から
鈴木 宜民
1
1千葉大学
pp.1283-1285
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207515
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私が千葉大学を定年退職して早くも3年目になる。在職中,恩師あるいは多くの先輩同僚から受けた恩顧は忘れ難いものとなつているが,そのなかで一つだけ現在の私の仕事にその命脈を保つているものがある。それはほかでもない医史学である。私の医史学に対する関心は,恩師の伊東先生から受けついだものであるが,その伊東先生は医史学に対する眼を先生の恩師であつた河本重次郎先生によつて開かれたものであつたというから,師の感化影響というものが如何に強いものであるかに驚くほかはない。
医史学そのものは,若い世代の方々にはあまり関心はないかもしれない。新知識の吸収に追われて過去の学問等に当てる余裕は無いというであろう。研究の対象はもつぱら自然科学であり,精神科学は疎外され,忘れられているというのが実情であろう。
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