GROUP DISCUSSION
眼の形成外科
久冨 潮
1
1慈恵医大
pp.857-860
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205159
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〔特別講演〕
顔面神経麻癖の手術的治療
近年顔面神経麻痺の手術的治療は長足の進歩を来たし,内耳道から,耳下腺内までの神経麻痺が手術の対象となつた。側頭骨内と側頭骨外で神経麻痺を起こす原因が証明され,保存的療法で原因が除き難く,回復の期待がもたれない状態(neurotmesis)にあるとき,手術により原因を除き,麻痺の回復を計るにとどまらず,積極的に神経自体に操作を加え,機能の回復を計るのである。技術的には神経剥離術によつて神経に対する圧迫を減荷し,神経の縫合,移植によつて,再建が企図される。
ベル麻痺,腫瘍,中耳炎,外傷等が側頭骨内の手術の対象となる病因で,側頭骨外では耳下腺腫瘍,またはその摘出手術,外傷などが主な病因である。診断は原疾患に対する検査と神経に対するNET, EMGなどを参考にして,neurotmesisを予想する。なお可能なかぎり,顔面神経の再建に努力するが,それが危険であると診断された場合,たとえば中耳癌のような場合には舌下,副神経のいずれかと,顔面神経の吻合を行なう。
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