特集 眼科診療:5年前の常識は,現在の非常識!
3 緑内障
スペシャルレクチャー
緑内障と眼血流
間山 千尋
1
1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学
pp.246-247
発行日 2011年10月30日
Published Date 2011/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103946
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5年前の常識は今も常識のまま?
緑内障の病態における眼血流の関与についての議論は古くから続いている。緑内障性視神経障害には視神経乳頭とその灌流血管である短後毛様動脈,網膜中心動脈などの血流が主に寄与すると考えられるが,血流の測定方法は1990年代に大きく進歩した。基礎実験で利用される侵襲的な方法のほかに,レーザー機器などの進歩によって後眼部組織の非侵襲的な血流測定が可能となり,実験動物とともにヒトの正常眼,緑内障眼を対象とした臨床研究が行われるようになった。超音波を利用したcolor Doppler imagingは,後眼部の眼動脈,網膜中心動脈と短後毛様動脈の血流速度が測定できる。レーザー光を利用したlaser Doppler velocimetryとlaser Doppler flowmetryにより,それぞれ網膜血管の血流速度・血流量の絶対値と視神経乳頭の血流速度・血流量の相対値を評価することができる。laser speckle法は視神経乳頭や網脈絡膜の血流速度の相対値が測定できるなど,複数の方法によって人眼でも眼血流を評価することができる。
これらの血流測定方法の結果に基づいて,緑内障眼における視野障害の程度と相関した眼血流量の低下や,血管や血流の反応性の障害などが報告されている。また,点眼薬や血管拡張作用を持つ内服薬の投与により眼血流が増加することが報告され,特に神経保護作用も有するカルシウム拮抗薬の緑内障治療薬としての可能性が示唆された1)。
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