特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (2)
専門別研究会
眼先天異常
野呂 充
1
1国立病院機構仙台医療センター
pp.592-593
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100428
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【一般講演】
1.眼瞼下垂を主訴とした慢性進行性外眼筋麻痺の1例
山下あさひ(国立病院機構仙台医療センター)・他
慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia:CPEO)はミトコンドリア病の1つで,徐々に進行する眼瞼下垂と眼球運動障害を主徴とする。眼瞼下垂を主訴とした慢性進行性外眼筋麻痺の1例を報告する。症例は61歳男性。40歳頃から眼瞼下垂が出現し,徐々に進行した。46歳時と56歳時近医にて眼瞼下垂の手術を受けたが,また眼瞼下垂が出現したため2004年8月25日当科を紹介され初診となった。糖尿病の既往があり,56歳時両眼白内障手術を施行されている。家族歴として姉と母方の従妹が眼瞼下垂であった。初診時視力は右(1.0),左1.2であり,眼位は遠見・近見ともに正位で眼球運動は全方向で制限あり,下顎挙上がみられ対光反応には異常はなかった。眼瞼下垂がみられ,Bell現象(-)であった。前眼部,中間透光体,眼底には異常なく,網膜電位図も正常であった。神経内科に精査入院となり,右上腕二頭筋筋生検を施行し,Gomoriトリクローム染色変法にてragged-red fiberがみられ,チトクロームC酸化酵素染色で酵素の欠如した筋線維がみられた。循環器科の診察では異常はなかった。本例は,臨床症状はCPEOとして典型的で,網膜色素変性や心疾患もなく,Kearns-Sayer症候群には合致しない。組織診では典型的な所見が得られ,確定診断に至った。今後患者の希望を踏まえ,眼瞼の手術を検討したい。
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