今月の臨床 妊婦健診のピットフォール
中期健診のピットフォール
3.見落とされやすい臍帯の異常
石郷岡 哲郎
1
,
千石 一雄
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.1115-1117
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904728
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はじめに
妊娠の後半になって胎児発育に遅延が見られたと思ったら分娩後に臍帯過捻転が見られた,分娩中に胎児心拍異常を認めたので緊急帝王切開にしたら臍帯卵膜付着が認められたなどの経験をお持ちの方も多いと思われる.以前に比べ,超音波検査装置の発達による画像診断の進歩は著しく,このような臍帯の異常もカラードプラ法の利用などにより分娩前に診断しておくことが可能となった.現代の産科管理においては,より安全な分娩を行うために,胎児—臍帯—胎盤循環障害などを引き起こすハイリスク妊娠として臍帯の異常を出生前診断しておくことが必要であると考える.通常診断することができる臍帯の異常について表1にまとめて示すが,これらの観察の時期としては,羊水腔の大きさと臍帯の太さなどから妊娠中期が比較的容易であろう.以上の視点から,本稿では妊娠中期の健康診査における見逃しやすい臍帯のチェック法について概説する.
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