今月の臨床 周産期救急と周産母子センター
新生児の異常と搬送
1.新生児搬送システムのあり方
木下 洋
1
1関西医科大学小児科学教室
pp.1231-1233
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904473
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はじめに
近年の母体搬送システムの充実により,在胎週数のきわめて少ない早産例や合併妊娠妊産婦は,新生児集中治療施設(neonatal intensive careunit:NICU)のある施設への母体搬送が推奨される.胎児医療と高度の母体管理および新生児医による継続したハイリスク児の管理が期待できるからである.
一方,周産期のさまざまなリスクが娩出前に明らかではなく,予期せぬハイリスク新生児が出生してNICUへの新生児搬送を余儀なくされることも多い,「近隣の施設で,この子に最高の医療を」と願うのは家族の願いである.したがって,社会のニーズに適合した医療サービスを提供するには,地域に密着した新生児搬送が基本となる.それぞれの地域で,現行の周産期救急医療実施状況(母体搬送・新生児搬送取り扱い数,救急車出動件数,搬送状況,救急医療情報システム)を把握・点検し,周産期におけるドクターカーの有効な利用体制の問題点をさぐり,地域の特殊性を考慮した搬送体制の確立を図ることが求められる.
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