今月の臨床 新生児外科の最前線—産科医としての必須知識
外科治療の現況と産科医へのアドバイス
2.胸部疾患
1)先天性横隔膜ヘルニア
吉野 裕顕
1
,
加藤 哲夫
1
1秋田大学医学部小児外科
pp.248-251
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903956
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
出生前診断,周産期治療と治療成績
近年,出生前診断,周産期治療の進歩により,新生児外科疾患の治療成績の向上がみられるなかで,唯一先天性横隔膜ヘルニア(以下,本症)のみは改善が得られず,その死亡率は約40%と高率である1).
本症のおもな死因の一つである新生児遷延性肺高血圧(以下,PPHN)に対する治療成績はHFO,ECMO,NO吸入療法などの呼吸・循環管理の進歩により向上し,さらに出生前診断によって.出生直後から集中治療が可能となり,救命される症例は増加した.しかし,出生前診断例には救命困難な重症例も多く,当初期待されたほどの治療成績の向上には結びついていない.すなわち今まては見過ごされ,胎内死亡あるいは出生直後に死亡し,本症と診断されていなかったいわゆるhiddenmortalityが明らかとなり,統計的には治療成績の低下として現れることになった.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.