今月の臨床 難治性細菌感染症
感染症難治化の要因
1.難治性感染症の原因菌
平泻 洋一
1
1長崎大学医学部附属病院検査部
pp.898-902
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903327
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感染症の難治化の要因は,原因微生物側のファクターと宿主側のファクターに大別される.微生物側のファクターは,毒素などの各種病原因子や薬剤耐性に代表される.一方,宿主側のファクターとしては,基礎疾患,年齢,妊娠・出産,医療行為(手術,抗癌剤・免疫抑制剤・ステロイド剤などの投与,放射線照射,カテーテル類の挿入,観血的検査など)など多岐にわたる.しかし,実際は両者が複雑に絡み合っている場合が多く,つねに宿主寄生体関係を考える必要がある.近年では健常人に対しては常在菌であっても,抵抗力の減弱した患者には病原性を発揮する日和見感染が難治性感染症として増加している.また周産期感染症ではB群レンサ球菌や大腸菌による新生児の髄膜炎・敗血症や,頻度は低いが妊婦の劇症型A群レンサ球菌感染症などの急性重症感染症も重要である.ここでは難治性感染症の原因菌として,実際に臨床材料から分離されやすい細菌,および分離率は高くないものの産婦人科領域において臨床上重要な細菌について解説する.
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