今月の臨床 男性不妊をどうする
男性不妊とIVF
1.乏精子症とIVF
中野 英之
1
,
安部 裕司
1
,
久保 春海
1
,
平川 舜
1
1東邦大学医学部第1産科婦人科
pp.1190-1193
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903086
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近年,卵細胞質内精子注入法(ICSI)が重度男性不妊症や受精障害を伴う不妊症夫婦に臨床応用され,めざましい成績が報告されている.しかしながら授精に用いる精子の正常性や精子の人為的選択,さらには卵子損傷など本法にはまだ解決されていない種々の問題が残されている.したがって本法を施行する症例の選択は慎重に行わなければならない.基本的には男性不妊症,とくに乏精子症に対しては従来の体外受精—胚移植(IVF—ET)が優先される.しかし乏精子症の精子は受精能力の低下や欠如している場合が多く,その結果IVFを施行しても受精率が低いか,もしくは受精しない症例の存在することを留意しておくことが肝要である.
そこで本稿では,乏精子症に対するIVFの適応と限界について精子機能の評価法および精子調整法を対象に若干の文献的考察を加え解説する.
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