連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
術後血腫防止のためのペンローズドレーンの使用
関 賢一
1
,
岩田 嘉行
1
1川崎市立川崎病院産婦人科
pp.1603
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902787
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婦人科開腹手術に際し,最も一般的に使用されるドレーンは,悪性腫瘍手術時のリンパ節郭清に伴い骨盤死腔に貯留する創液,すなわち血液,リンパおよび浸出液などを排除してその貯留を防ぐために用いるものであろう.この目的のためにはいわゆる尾骨ドレーンや最近では陰圧で持続的に吸引することが可能なSBドレーンなどがある.また,PIDや感染性付属器手術の際には,膿や浸出液を排除するために,手術部位からダグラス窩を経て腟内へドレーンを導くことなども行われている.
一方,腹式単純性子宮全摘術においても,開腹手術の既往のあるものや,進行した内膜症の症例などでは子宮後壁,仙骨子宮靱帯,直腸前面,後腹膜などに強固な癒着を生じ,これを剥離した後の漿膜面からは,量的にはわずかではあるが頑固な出血を生じ,この処置に意外と手こずることがある.また,術後,腟断端部に血腫を生じたり,感染を起こしたりする危惧が生じる.このような場合,筆者らは極力両側後腹膜腔にNo.8ペンローズドレーンを留置し,これを断端から膣内へ導き,貯留する血液をドレナージするようにしている.
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