今月の臨床 流産
流産の動向
5.人工中絶の動向
新家 薫
1
Kaoru Shinya
1
1新家産婦人科医院
pp.20-22
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901138
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第二次世界大戦後,海外からの引き揚げによる人口増加,それに伴う結婚ブーム,ベビーブームにより一段と人口増加に拍車がかかり,窮迫した経済状態の下で非合法の人工妊娠中絶が横行し,母体の健康を障害する例が少なくなかった状況下で優生保護法が制定された。1948(昭和23)年7月である。制定直後の人工妊娠中絶は出生抑制,ひいては人口増加抑制の手段として効果があり,1952(昭和27)年より開始した家族計画(受胎調節)の普及とともに,1961(昭和36)年の出生率は16.9を記録し,西欧なみの水準に達した。
しかし,人工妊娠中絶の実施率は1955(昭和30)年のピーク以降徐々に減少し,1990(平成2)年には約3分の1になったものの,西欧諸国に比べいまだに高値を示し,また1980年頃より10歳代の中絶増加が顕著となっている。ここでは人工妊娠中絶の動向と問題点について述べてみたい。
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