症例
術中経腟超音波検査で診断できたダグラス窩腹膜妊娠の1例
植田 陽子
1
,
佐々木 高綱
1
,
日野 友紀子
1
,
松浦 美幸
1
,
重光 愛子
1
,
永井 景
1
,
山田 嘉彦
1
1八尾市立病院産婦人科
pp.155-157
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211145
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▶要旨
腹膜妊娠は異所性妊娠の1%とまれな疾患である.今回は左卵管妊娠疑いに対して腹腔鏡手術を行い,術中経腟超音波検査を併用することによりダグラス窩妊娠と診断し,治療しえた症例を経験したので報告する.
症例は38歳,女性.自然妊娠で妊娠成立した.妊娠7週4日の時点でも経腟超音波検査で子宮内に胎囊は認められず,異所性妊娠疑いで当科に紹介となった.同日,経腟超音波検査で子宮左側に腫瘤像が認められた.内部に胎児心拍が確認できた.左卵管妊娠が疑われたため,同日,緊急腹腔鏡手術の方針とした.腹腔内所見では,両側付属器は正常で,腹腔内に絨毛組織は認められなかった.ダグラス窩に陥凹を認め,持続性出血を認めた.この陥凹部が病変である可能性があると判断し,陥凹に鉗子を置いて術中に経腟超音波検査を行い,術前の所見と比較した.術前に腫瘤を指摘した部位と鉗子の散乱像が一致することが確認できたため,ダグラス窩腹膜妊娠と診断した.
腹腔妊娠の診断方法として,術中超音波検査は有効な手段であると考えられた.
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