薬の臨床
子宮癌に対する放射線療法と化学療法(内腸骨動脈one-shot注入)の併用について
井庭 信幸
1
,
梅沢 潤一
1
,
石川 宏輔
2
,
森崎 緑朗
2
Nobuyuki Iba
1
,
Hirosuke Ishikawa
2
1鳥取県立厚生病院産科婦人科
2鳥取県立厚生病院放射線科
pp.743-747
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205671
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子宮癌Ⅲ期以降の治療法は主として放射線療法に依存しているが,これは局所療法であり,子宮癌Ⅰ,Ⅱ期に比較し転移率の高い子宮癌Ⅲ期以降の症例には全身療法が必要と思われる。全身療法としては化学療法が行なわれており,内服,筋注,静脈内,動脈内などまた単独あるいは多剤併用法で投与されている。その他免疫学的見地からの薬剤投与も試みられている。全身療法の意義は誰しも認めるところであり,nitrogen mustard以来,種々の制癌剤が出現したが,効果の点では手術,放射線治療に比較し,まだ十分とはいえない状態であり,補助療法ともいわれている。
一方,絨毛性腫瘍に関しては従来,手術,放射線療法が優先されていたが,最近ではMethotrexate,Actino—micin-Dなどすぐれた薬剤で治療成績は向上し,生殖能力を維持できるようになってきた7)。子宮癌の場合も薬剤で完全な治癒が得られ,生殖能力が保たれるようになるには,まだかなりの年月を有するものと思われる。
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