小特集 東洋医学とハリ麻酔
東洋医学とハリ麻酔
斎藤 幹
1
Motoi Saito
1
1東京医科歯科大学産婦人科学
pp.749
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205094
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東洋とくに中国には,数千年以前より特有の治療体系,治療法が存在し現在に至つている。それらは直接に,あるいは韓国を経由して日本に伝えられ,西洋医学が正式に採用されるまでの間,本邦の社会・風土に適応して発達してきた。しかし明治以降にあつては,針灸術あるいは漢方医という名称で,民間医療として,日の当らない場所で治療行為が続けられてきたことは周知の通りである。西洋医薬が奏効しない疾患,特に慢性症に対し漢方が著明な治療効果を発揮することがあるのは事実であり,その意味において西洋医学に望みを失い漢方の門を訪ずれる患者は現在でも多数にのぼつている。
西洋医学の教育・臨床を学んだわれわれ医師の多くは,東洋医学に関しては全くの門外漢といつても過言でない。1971年,新聞記者レストンが針麻酔を紹介したのが契機となり,ジャーナリズムの面で針麻酔の爆発的ともいえるブームが起こつた。このブームは,一面においてわれわれ医師に東洋医学を再認識させるよいチャンスとなつた。東洋医学の長所を研究し,とり入れて,われわれの医療をより実りの多いものにしたい,という目的の手初めとしてこのシンポジウムを企画した次第である。
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