カラーグラフ 子宮頸癌の診断・3
組織診Biopsy
栗原 操寿
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.186-187
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204172
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1.どんなときにBiopsyを行なうか
子宮頸部にできた癌が大きくなり,すでに肉眼や内診でわかる臨床癌ならば,これまでどおり,ただちに組織診を行ない,確定診断にもつていく。問題は臨床上全く症状や所見のない臨床前癌(上皮内癌や初期浸潤癌)を,どのようにして捕えるかである。それには,30歳以上の婦人に対し,症状のあるなしにかかわらず,細胞診と腟拡大鏡診を常用する診療姿勢を確立し,以下のときに組織診を行なうことである。
1)細胞診でclass Ⅲ以上のとき——class Ⅲの約50%,class Ⅳ-Ⅴの95%は悪性である。 2)腟拡大鏡診で異常所見をみるとき——異常所見を数ヵ所狙い切除する。 3)細胞診陰性(class Ⅰ,Ⅱ)でも肉眼診あるいは内診で悪性の疑われるとき——この場合,腟拡大鏡診を併用すれば,組織診を大幅に減らすことができる。というのは,腟拡大鏡診で転位帯Ectopieの見える良性所見ならば,これで子宮頸部の悪性を否定できるからである。
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