Japanese
English
婦人科 卵巣
巨大卵巣嚢腫の1例
A case of gigantic ovarian cystoma
村国 茂
1
,
十蔵寺 新
1
,
神津 弘
1
Shigeru Murakuni
1
1聖路加国際病院産婦人科
pp.537-542
発行日 1962年7月10日
Published Date 1962/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202648
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緒言
いわゆる巨大卵巣嚢腫についての報告を繙いてみると,1879年のBarlowの例から今日に至る迄,Spohn19)の148.0kgを筆頭に驚異的と思われる諸例を数える事ができる。一般に巨大なる文字を冠してよいと考えられる卵巣嚢腫の基準として従来多方面からの観察により,諸説が出されているがSkutchの主張する術前の患者体重の半分以上を占める重量を有するもの,E.Keher18)の嚢腫重量25kg以上,或いは嚢腫内容が最少25l以上のもの,また本邦に於ては宮部7)は内容20l以上のものを,更に秦16)は妊娠8ヵ月の子宮大以上のものを,それぞれ巨大卵巣嚢腫と定義づけている。以上の定義に適合する今迄の報告をみると,それが最近の如き医学技術の普及以前のものであつたり,患者自身適切なる治療を受け得られない地方のものであつたりして都会生活者に於て遭遇する例は極く少なかつた。われわれは此度,都会,しかも東京で生活していながら新興宗教に帰依していた為,手術に対し大きな恐怖を抱き,加えて自覚症状少なき為10年余の長きに亘り放置されていた稀有な巨大卵巣嚢腫の症例を経験したのでここに報告する。
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