同人放談
対癌協会は婦人科学会に何を望むべきか
川上 博
1
1東京女子医科大学
pp.79-80
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202362
- 有料閲覧
- 文献概要
対癌協会が発足して2年目になる。この協会は日本医師会,財界,厚生省,報道関係が一丸となつて組織されただけに,その発足状態は極めて満足すべきものであつた。たとえば例を鹿児島県にとつてみると,県衛生部は県医師会と密接な交渉ののち,財界に主力をおいて官民平等に,報道関係,医師会,市町村議会関係,婦人会,農協,教育関係等凡ゆる階層を網羅した協会設立準備委員会を組織して幾度か研究会の後に協会の機構,委員,運営等を決定して発足した。その結果大衆に対するマスコミも極めて効果的であり,申し分のない滑り出しであつた。従つて鹿児島の様な田舎でさえも,1人で50万円も寄附した者さえもあつた程で,此の種の事業の発足としては近来稀にみる手際よいものであつた。
ところで問題となるのは此の様な滑り出しを,どの様にして長続きさすか,換言すれば,大衆の癌に対する関心を如何にしてこれ以上大きくし,積極的に協力さすかにある。この種の運動には相当の経費がかゝり,鹿児島の様な小県でも年間350万円位を目標にしているのであるが,これだけの寄附を集めるには余程のマスコミによつて大衆の関心を集めることに努力せねばならない。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.