Japanese
English
原著
乳房皮膚温度に関する研究
Studies on the skin temperature of breast
菊池 和男
1,2
KIKUCHI KAZUO
1,2
1東京医科歯科大学衛生学教室
2東京医科歯科大学産婦人科学教室
pp.237-240
発行日 1957年4月10日
Published Date 1957/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201530
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緒言
婦人の乳房は,妊娠の月数と共に次第に腫大し,末期に至れば,通常非妊時の2倍以上の大きさとなり,この間乳腺組織は次第に増殖肥大する。腺機能は,既に妊娠中期より発現して,初乳の分泌を見るが,産褥に至つて分泌機能は急に昂進し,中に結節状或いは索状の乳腺組織を触れるに至る。分泌機能にはかなりの個人差が認められるが,通常乳児の吸引によつて分泌機能は愈々昂進し,授乳を続ける限り1年以上にわたつてその状態を持続する。この様な変化に伴つて,当然局所的な著るしいエネルギー代謝の昂進が起るであろうことは容易に推定される所であり,代謝の昂進が局所の温度を上昇させることは,甲状腺機能亢進等に於いて,よく知られた事実である。これは乳房温の上昇という形で多数の文献1)〜5)に見られる所であるが,その多くは水銀温度計を用いたものであつて,被験者に対する制約を無視し得ず,又熱電対による測定も,最近の皮膚温度の測定技術から見る時,稍々不充分の憾みがあるので,次の様な測定を試みた。
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