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特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患
妊娠と高血圧
Pregnancy and hypertension
加来 道隆
1
Michitaka Karai
1
1熊本大学
pp.969-973
発行日 1956年12月15日
Published Date 1956/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201480
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妊娠に合併する高血圧の種類
妊娠に合併する高血圧には妊娠,分娩,産褥中に初めて発生するものと,妊娠前から存在するものとがある。
(1)妊娠,分娩,産褥中に初めて発生するものは重症の妊娠腎,子癇前症,子癇等の所謂妊娠晩期中毒症或いはエドネクローゼと呼ばれるものの重症型に合併する高血圧である。この晩期中毒症は胞状奇胎や急性羊水過多症等の特殊の場合を除いては通常妊娠後半期,殊に終3ヵ月に発生するために,高血圧もこの頃になつて現われて来る。通常浮腫や蛋白尿と同時或いは幾分遅れて発生するが,4〜5例に1例の割合には血圧の方が先に上昇して来ることもある。この種の高血圧は時刻による変動が著明で,短時間内に急に上昇したり下降したりすることが一つの特徴である。また高血圧が現われ初める頃には拡張期血圧の上昇が先におこることもあるので収縮期血圧のみでなく,これをも測定することが肝要であり,これが90mmHgを超えた場合には末梢血管抵抗が増加している徴であるから注意を要する。この晩期中毒症に合併しておこる高血圧は屡々160mmHg前後となり,拡張期血圧もまた90〜110mmHg以上に上昇するが,重症例では収縮期血圧が180〜200mmHgにも上昇することがある。併し乍ら200mmHg以上を超えることはまず少ない。
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