原著
初期人工妊娠中絶術時に於ける各種靜脈麻醉剤の検討
松沢 邦昌
1
,
中西 寿子
1
1東京都立大塚病院産婦人科
pp.251-255
発行日 1954年5月10日
Published Date 1954/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201024
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緒言
近時静脈麻酔剤の進歩は手術慰者にとつての福音である。手術による疼痛と共に患者の精神的苦痛をも手術時完全に取り去り得ることは,手術に携る医師の義務であると共に利点と云つても過言ではないと思う。殊に子宮内容除去術の如く短時間で終る操作には,従来から行われていた無痛法即ち麻藥による迷朦麻酔,鎭痛剤,睡眠剤の皮下注射又は経口投与,ノボカインによる局麻等をみると効果が完全でない場合が多く,腰麻,エーテル等の吸入麻酔は操作が煩雑で覚醒が遅く使用し得ないから静脈麻酔が好適と思われる。要するに安全無害,操作簡便,麻酔効果充分,短時間で覚醒し得るもの,との必要条件を略々備えたものがBarbiturate系の静脈麻酔である。Barbiturateが紹介されたのは1903年Hednalに始りPernocton (1927) Amytal (1923)が現れMarks (1930)により静脈内に試みられて以来,Evipan-Na (1932)更に1934年Pentothalが相ついで現れ,より作用強力なもの,より蓄積作用のない安全なものに進んで来ている。Dr BywathenによりSu—ritalが合成せられP ntothalとの比較実験ではSuritalがすぐれている事が報ぜられている。
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