増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
III 更年期・老年期
骨粗鬆症
篠原 康一
1
1愛知医科大学産婦人科
pp.113-118
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103687
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾患の概念 『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版』より
わが国でも1996年に骨粗鬆症の診断基準が作成された.脆弱性骨折のある例では骨折リスクが高いという事実を取り入れ,脆弱性骨折のある例では骨密度が若年成人平均値(young adult mean : YAM)の80%未満,脆弱性骨折のない例ではYAMの70%未満を骨粗鬆症とする診断基準を設定した.
その後,骨密度以外の多様な骨折危険因子の存在が明らかになってきた.また,骨吸収抑制薬による骨折抑制効果が,骨密度上昇には大きく依存しないことも明らかになった.2000年の米国国立衛生研究所(NIH)におけるコンセンサス会議では,骨粗鬆症の定義を「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」とすることが提案された.さらに,「骨強度」は骨密度と骨質の2つの要因からなり,骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとした.残りの30%の説明要因を「骨質」という用語に集約し,その内容には,微細構造,骨代謝回転,微細骨折の集積,骨組織の石灰化の程度などを挙げている.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.