今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
VI そのほか
【尿失禁】98.咳や労作時に尿が漏れるという腹圧性尿失禁とみられる患者です.
角 俊幸
1
1大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学(産科婦人科学)
pp.634-635
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101531
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1 診療の概説
尿失禁とは,「尿の無意識あるいは不随意な漏れが衛生的または社会的に問題となったもの」と定義される 1).これは,更年期女性の3人に1人に認められ,その大部分は以下に示す腹圧性尿失禁か切迫性尿失禁もしくはその混合型である.筆者らの調査 2)でも,1992~2000年までに当施設を受診した19,239名中5,160名(26.8%)に何らかの尿失禁症状がみられた.特に,40歳を境に急激にその頻度は増加しており(40~50%),更年期女性にとって尿失禁は大きな悩みの1つであると推測できる.
腹圧性尿失禁とは,せき・くしゃみ・体動などにより腹圧が急激に上昇し,その結果,膀胱内圧が尿道抵抗を上回り不随意に生じる尿の漏れをいう.更年期の女性の最も多くにみられ,骨盤底筋群の脆弱化,後部尿道膀胱角の開大,尿道括約筋の損傷などがその原因と考えられている.特徴的な症状としては,(1)せき・くしゃみ・笑ったときに漏れる,(2)漏れるのではないかと運動を避け頻繁にトイレに行く,(3)夜は眠れるが寝起きに漏れる,などである.
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