今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
IV 感染症
【カンジダ腟炎,外陰炎】71.外陰部掻痒感を訴えている妊娠6週の妊婦です.外陰部は発赤しており,分泌物を鏡検するとカンジダが認められました.
三木 明徳
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.567-569
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101504
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1 診療の概説
設問70も一緒に読んでいただきたい.腟内は通常デーデルライン桿菌(乳酸桿菌)が多数を占めており,デーデルライン桿菌からつくられる乳酸により腟内環境は酸性に保たれている.この酸性環境により腟内でのほかの雑菌の繁殖が抑制されている.正常な腟内環境ではきわめて少数しか存在しないCandida albicans,Candida glabrataもしくはCandida tropicalisが腟内環境の変動により優位に増殖して引き起こされる病態がカンジダ腟外陰炎であり,外陰部の発赤,痒み,痛みおよびカッテージチーズ,ヨーグルトもしくは中華粥を思わせる帯下を主な症状とする.
腟,外陰部にカンジダが増殖する要因として,妊娠,糖尿病,免疫低下などが挙げられ,日和見感染の一種ともいえる 2).妊娠中はエストロゲンの亢進のために腟上皮のグリコーゲンが増加する.この環境はカンジダの発育に適した条件であり 1),20~40%の妊婦の腟内にはカンジダが常在菌として検出され,非妊婦の10~15%と比較して高頻度となっている 1).妊娠中に何らかの要因が加わると,腟内環境が崩れカンジダが優位に増殖してくる.上記の理由により,妊娠中はカンジダ腟炎を治療しても何度も再発してくることが多い.
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