今月の臨床 安全な産科手術・処置をめざして
妊娠中の手術・処置における安全対策
子宮内容除去術・清掃術
高橋 恒男
1
,
春木 篤
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター母子医療センター
pp.824-827
発行日 2005年6月10日
Published Date 2005/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100340
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はじめに
子宮内容除去術・清掃術(dilatation & curettage : 以下,D&Cと略)は,人工妊娠中絶や自然流産に対する手術として産婦人科医が最初にマスターしなければならない手術手技で,かつ日常数多く行わねばならない基本手術でもある.手術手技としてはすでに完成されており,ある意味では慣れると比較的簡単なものが多いため,安易な気持ちに陥りやすいところにこの手術の持つ落とし穴がある.
産婦人科医事紛争のなかでも,D&Cにかかわる事故は常に上位に出てくる発生頻度の高いもので,そのなかでは子宮穿孔,内容遺残(妊娠継続),子宮外妊娠の誤診が上位を占めている.内容遺残や子宮外妊娠誤診は,注意深い観察や超音波の検査を行えば防ぎえる過失性の強いものが多い.子宮穿孔は,この手術の持つ盲目的操作の特異性から,必ずしも過誤といえないものも多いが,子宮の屈曲が強いものや,患者が肥満で手術操作がやりにくかったものなど,後で考えれば手術リスクが高いと考えられ,もう少し注意深く慎重に行えば防ぎえたと後悔させられるものも多く認められる.本稿では,これらのトラブルを防止する安全対策について述べてみたい.
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