今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[呼吸器系疾患] 肺結核
豊田 恵美子
1
,
箕浦 茂樹
2
1国立国際医療センター呼吸器科
2国立国際医療センター産婦人科
pp.522-523
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100257
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1 診療の概要
結核はヒト型結核菌により起こる肉芽腫性炎症であるが,人から人へ空気中に放出され,浮遊する飛沫核を吸入することで感染伝播する.感染力はおおむね30%,潜伏期は不定で,発病率10~20%の慢性感染症である.気道末梢の肺胞・肺胞道レベルで感染が成立すると,多くの場合,菌は死滅することなく静止菌として長期間(おそらく一生)体内にとどまり,細胞性免疫との均衡が破れると発症・進展し,気道に破れ,感染源となるサイクルを繰り返している.
現在世界では約1/3の人が感染しており,800万人が発病し,感染症の死因の第1位である.結核患者の多くは発展途上国に遍在するが,日本は年間発病が人口10万対24.8で,欧米先進国10以下と比べると中進国レベルである.結核は人口密度が高い大都市に集中しやすい.
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