今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[消化器系疾患] 便秘
永田 智子
1
,
春木 篤
1
1横浜市立大学市民総合医療センター母子医療センター
pp.438-439
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100226
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1 診療の概要
便秘は便通の回数または量が異常に減少し,便が硬くなり,排便が順調に行われず,3日以上排便を欠く状態をいう.通常は便通異常に伴う症状(腹痛,排便困難,腹部膨満感など)が不快で日常生活に支障をきたす場合に便秘としている.
便秘は発症様式より急性と慢性に,原因からは機能性と器質性とに分類される.妊娠中にみられる便秘は慢性機能性便秘であり,発症する病態としては以下のようなことが考えられている.妊娠初期は胎盤から分泌されるプロゲステロンが胃・腸管平滑筋に作用して,緊張低下と蠕動運動の抑制を引き起こす.また妊娠中~後期では肥大した妊娠子宮により上方の腸管は圧排され,下方のS状結腸,直腸は持続的な機械的圧迫を受け,腸運動も低下する結果となる.また妊娠中に発症しやすい痔疾のため,排便をこらえることも誘因の1つである.以上をまとめると,以下のようになる.
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