症例検討会 骨・軟部腫瘍18例
症例5—左上腕骨腫腸
田中 昇
1,3
,
高田 典彦
2,3
,
館崎 慎一郎
2,3
1千葉県がんセンター研究所病理研究部
2千葉県がんセンター病院整形外科
3日本整形外科学会骨・軟部腫瘍研究会
pp.471-473
発行日 1979年5月25日
Published Date 1979/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908574
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左上腕骨malignant fibrous histiocytoma.
52歳,男,現在までの経過は約1年半.1977年2月,左上腕痛,良性左上腕骨腫瘍ないしbone cystの疑いで当院に転送.当時のX線像は第5-1図左半のごとく骨幹部に多胞性吸収像と一部の骨皮質吸収像がみられ,同年5月に病的骨折,6月に入院.X線所見で悪性所見が疑われたが(第5-1図右),血管新生像顕著でなく,生検を行なつた.組織所見は成熟度の良い新生骨梁が線維性組織の中にみられ,fibrous dysplasiaが疑われた(第5-2図).6月30日に広汎な掻爬と骨移植が行なわれた.掻爬組織は多彩な所見を示し,骨破壊像が顕著で,一部に初回と同様なfibrous dysplasiaに酷似する部分,稠密紡錘細胞,線維芽細胞様細胞の腫瘍性増殖巣が混在し,しばしば瘢痕様,硝子化巣がみられた.これら細胞増殖部,線維性部分は極めて著明ないわゆるstoriform patternを呈し(第5-3図),異型細胞の存在は目立たなかつたので,悪性組織像と同定することをちゆうちよした.
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