Japanese
English
論述
ステロイド関節症の免疫学的側面—慢性関節リウマチ・変形性関節症との対比において
Immunological Aspect of Steroid Arthropathy in Comparison with Rheumatoid Arthritis and Osteo-Arthritis
川部 直巳
1
,
岩田 淳
1
,
和田 定
1
,
江田 有史
1
,
藤新 重治
1
,
廣谷 速人
1
Naomi Kawabe
1
1島根医科大学整形外科教室
1Department of Orthopaedics, Shimane Medical School
キーワード:
ステロイド関節症
,
steroid arthropathy
,
免疫グロブリンの沈着
,
deposition of immunoglobulin
,
抗コラーゲン抗体
,
anti-collagen antibody
,
抗プロテオグリカン抗体
,
anti-proteoglycan antibody
Keyword:
ステロイド関節症
,
steroid arthropathy
,
免疫グロブリンの沈着
,
deposition of immunoglobulin
,
抗コラーゲン抗体
,
anti-collagen antibody
,
抗プロテオグリカン抗体
,
anti-proteoglycan antibody
pp.691-700
発行日 1988年6月25日
Published Date 1988/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907875
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録:ステロイド関節症の発症機序は,いまなお不明な点がある,今回,手術を行った12例,18関節について主に免疫学的検討を行った.免疫血清検査では,12例のうち9例に免疫血清検査を行い,5例にIgGの増加を認めた,滑膜・関節軟骨の病理組織所見において特異的変化をみることは少ないが,免疫組織化学的検索では,主にIgG,C3が,滑膜で86%,関節軟骨で81%の高頻度に認められた.これは関節リウマチの滑膜100%,軟骨91%に近い頻度であった.関節軟骨に沈着した免疫グロブリンを抽出し,コラーゲンに対する抗体価を測定した結果,12例のうち5例にI型,II型コラーゲンに,4例にIII型コラーゲンが陽性であり,プロテオグリカンに対しては5例に抗体価が陽性であった.これは変形性関節症より頻度,抗体価ともに高かった.
ステロイド関節症の病因として従来から代謝抑制,機械的刺激,除痛による酷使などが述べられているが,以上の結果からその進展には局所的な自己免疫も関与しているものと考える.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.