Japanese
English
整形外科基礎
アドリアマイシン動脈内注入による血管壁の組織変化と微小血管吻合に及ぼす影響
The Effect of Intra-arterially Injected Adriamycin on Microvascular Anastomosis and Histological Findings of Arterial Wall
多賀 一郎
1
,
河井 秀夫
1
,
露口 雄一
1
,
山本 浩司
1
,
川端 秀彦
1
,
政田 和洋
1
,
浜田 秀樹
1
,
小野 啓郎
1
Ichiro Taga
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Osaka University Medical School
キーワード:
抗癌剤
,
anti-neoplastic-agent
,
アドリアマイシン
,
adriamycin
,
微小血管吻合
,
microvascular anastomosis
,
血栓
,
thrombus
,
副作用
,
adverse effect
Keyword:
抗癌剤
,
anti-neoplastic-agent
,
アドリアマイシン
,
adriamycin
,
微小血管吻合
,
microvascular anastomosis
,
血栓
,
thrombus
,
副作用
,
adverse effect
pp.761-766
発行日 1987年6月25日
Published Date 1987/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907648
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抄録:悪性腫瘍広範切除後の微小血管吻合に際して,術前動脈内投与された抗癌剤アドリアマイシンの影響について実験モデルを作成し,検討を加えた.ラットの大腿動脈を用いて動脈内投与後一定期間をおいて血管吻合を行い,開存率と吻合部の組織学的検討を行った.術前投与後3週の吻合は血栓閉塞を高率に生じ,5週以上の期間をおくと吻合成績は改善する傾向がみられた.術前投与後に吻合を行った血管には組織学的に内弾性膜の断裂が認められ,その部に血栓形成を生じることが証明された.内皮細胞の再生能等に対する影響は軽度であった.しかし,アドリアマイシンにより血管壁は脆弱となり,血管吻合操作により容易に損傷されると考えられ,特に内弾性膜の損傷は血栓形成と密接に関連していた.この作用はアドリアマイシン投与後3週頃に最も強いと考えられた.
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